どんなお話?
ヤンデレ男子、そう呼ばれる男性がお茶の間を騒がせるようになってからおよそ10年が経過した。
80年代半ばから緩やかに下っていた出生率の問題が2000年代に入り深刻な社会問題へと変化したのは記憶に新しく、政府はこれを深刻な社会問題と捉え、国の存亡をかけて起死回生の一手を打った。
「フェニルエチルアミン」通称「恋愛ホルモン」が
一目惚れのメカニズムに深く関わっていることを知っているだろうか?
本来、脳下垂体から分泌されるこのホルモンを人工的に作り出し、多くの改良を経て「新恋愛ホルモン」と名付けられた薬剤は「遺伝子レベルで相性の良い異性と結ばれやすくなる健康食品」と様々なメディアで報じられ、国内に流通する食品全てに混ぜられるようになった。この人体実験とも言える改革は「2000年革命」と呼ばれ、賛否両論に分かれる歴史的な事件となったが、施行を開始してまもなく、出生率ならびに既婚率のパーセンテージは直角とも言えるほど右肩上がりに回復し、日本は危機を脱したように思えた……
しかし、この新恋愛ホルモン(PEA)には数点、重大な副作用が報告されたそうだ。
恋煩いの症状と合致する「睡眠障害」や「食欲不振」を訴える人間は一定数存在するが、それらの作用にプラスして「脳の一部を破壊し、判断力を鈍らせる」といった効果が色濃く出てしまう層こそが通称「ヤンデレ男子」とされる存在なのだろう。
現在別の社会問題になりつつある彼らもまた、改革の犠牲者と言わざるを得ない。
(病み病み週刊誌 掲載文)
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